裁量権放置の与党、現状直視し改正を

 空想国会最高規約では第49条に「事務局の裁量権」が、そして第51条に「選挙管理における専決処分」が定められている。事務局の独断で法律に明記されていない事柄を決定したり、逆に法律の規定の効力を停止しうるという点で非常に強大な権力であると言える。もちろん、空想国会の規約が十全に定まっているとは言えない状況で、迅速かつ専門的に行動することができる事務局の機能を補完する必要性から、これらの規定は存在意義を有しているだろう。とはいえ、われわれが忘れてはいけないのは空想国会の歴史は事務局の恣意性から如何に自由主義的・民主主義的な空間を守り抜くか模索されてきた歴史でもあったということだ。そのために、裁量権には議会を通じた歯止め、専決処分に対しては効果を同選挙期間に限定するなどの改正の試みがなされてきた。裁量権に基づく決定や専決処分はあくまで臨時措置であり、致し方なく導入されるものであり、代わりの立法・改正等を通じてすぐさま解消されるべきものなのだ。

 このような歴史を鑑みると、現政権のスタンスは問題であると言わざるを得ない。改正前に導入され、いまだ効力を持っている専決処分を放置しているのみならず、現在大きな問題となっている多重党籍問題や会派問題(そしてその根幹たる政治団体の問題)など種々の問題を放置し、事務局の裁量権による解決を望んでいるからだ。本来であれば、行政改革担当大臣を中心にして、事務局とも密に連絡を取りつつ(そもそも現政権内にも事務局の人間がいるのだから)規約の立法・改正に向けて迅速に動くべきである。現政権が誕生してから、規約についての政権の行動は、必要かどうかも定かではない個別訪問に関する改正に限られている。これでは空想国会の歴史を軽視し、事務局による非常手段を常態化させることを望んでいると指弾されてもおかしくないはずだ。

 にはえる事務局長や彼の職務分担方針によって誕生した他の事務局員がこれまでの空想国会の事務局長と比べ、政治的偏向など事務局の理念からの逸脱に慎重であるのは、あくまでも偶然である。今後、どのような事務局長ないしは事務局員が誕生するかはわからない。空想国会の未来を考えるうえでも、「万能な裁量権・専決処分」という誤ったメッセージを流布すべきではない。超党派で規約の立法・改正を実現し、より良い空想国会を築いていこうではないか。

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